「寿司職人って休みあるんですか?」
お客様や友人から、何度も聞かれた質問です。
世間的には“休みがない仕事”の代表みたいに思われていますが、
実際のところは──店の規模、立場、そして働き方によって全く違います。
この記事では、現役寿司職人である筆者(30代・東京勤務)が、
リアルな休日事情とその過ごし方を具体的にお話しします。
寿司職人に“休日が少ない”と言われる理由
営業時間が長く、仕込みが早朝から始まる
寿司職人の1日は長いです。
昼前に市場へ行き、魚を仕入れて、昼営業・夜営業。
仕込みや掃除を含めると、朝8時〜夜11時まで働くことも珍しくありません。
だから「1日働いて1日休む」ようなサイクルはほぼ不可能。
結果的に休みを取りにくくなり、「休みがない」と言われがちです。
個人店は予約中心でスケジュールが変動
個人経営の寿司屋では、予約状況によって営業日を決めることが多いです。
繁忙期は週7営業、閑散期は週1〜2日休むなど、波があります。
つまり、**“休みが固定されない”**のが実態。
修行時代は特に休めない
見習い・修行期間中は、掃除や下準備など「裏方仕事」が中心。
先輩より早く来て、遅く帰ることが当たり前なので、
週1の休みも「市場同行」などで潰れることもあります。
この時期を乗り越えた人ほど、“休日”のありがたみを深く感じます。
実際の寿司職人の休日サイクル
週1休みが基本ライン
多くの寿司屋は週に1回、月曜または水曜休みが一般的です。
とはいえ、仕込みや買い出し、メニュー開発などで「完全な休日」にはなりづらい。
店主クラスになると、休みの日でも市場に行く人は少なくありません。
連休はほぼない
ゴールデンウィークや年末年始など、
他業界が休みの時期は寿司屋の繁忙期。
**“みんなが休む時に働く”**のが職人の宿命とも言えます。
独立すれば自由に見えるけど…
独立後は自分で営業日を決められる反面、
「休んだら売上ゼロ」という現実がのしかかります。
精神的にはむしろ独立後の方が“休めない”と感じる人もいます。
現役寿司職人のリアルな休日の過ごし方
1. とにかく寝る
立ちっぱなし・集中しっぱなしの仕事なので、体力の消耗が激しい。
休日は昼過ぎまで寝て、夕方にようやく動き出すという人も多いです。
2. 体のメンテナンス
整体、マッサージ、温泉、ジム。
腰痛・手の腱・目の疲れなど、職人特有の体の不調を整える時間。
「体を壊したら終わり」という意識が強い人ほど、
休日の半分をメンテに使います。
3. 他店で食べて勉強
「休日も寿司屋」という職人もいます。
気になる店を食べ歩きして、ネタの扱いや盛り付けを研究。
これが一番のインプットになるんです。
4. 家族や恋人と過ごす
家庭を持つ職人は、休日を家族に全振り。
平日は帰りが遅いので、休日の1日が“家族時間のすべて”。
この1日を守るために働くという人も多いです。
休日が少ない職場で心を壊さないために
「休めない=努力」ではない
寿司職人の世界には、“休まず働くのが美徳”という古い価値観がまだ残っています。
でも、心と体を削って続けても、技術は伸びません。
**「休む=サボり」ではなく、「休む=整える時間」**と考えることが大事。
休みを確保できる職場を選ぶ
最近は、週休2日を導入する寿司店も増えています。
また、勤務時間を短縮したり、昼のみ営業にしたりと、
“持続可能な寿司職人ライフ”を考える店主も増加中。
求人を探すときは「営業時間」「休みの取り方」までしっかり確認するのがおすすめ。
独立・転職で環境を変えるのも手
もし今の環境がつらいなら、
自分の理想の働き方を実現できる場所へ移るのも選択肢。
寿司職人=根性、という時代はもう終わっています。
今は“技術を活かして長く続ける”方向にシフトしています。
まとめ:寿司職人の休日は「働き方」で決まる
寿司職人の休日は少なく見えるかもしれません。
でも、それは**「自分で選んだ働き方」次第**で大きく変わります。
週1でも心が満たされる休み方をしている人もいれば、
週2あっても心が休まらない人もいます。
大切なのは、
「誰かの理想」ではなく「自分が続けられる形」を見つけること。
寿司職人は“人生をかけて手で語る仕事”。
だからこそ、休むことも技の一部なんです。